KOKKAI INSIDER

  • 総論

各省庁の間には、それぞれの設置法や国家行政組織法には書かれていないが、暗黙の序列がある。1府12省庁のうち、予算・権限・伝統等の点から抜きん出た組織が、巷間BIG 5と言われることがある。それは財務省、経済産業省、外務省、総務省、警察庁である。このBIG5は、自らの組織が天下国家を背負っているという強い自負心を抱いており、それが時折特権意識につながることもある。以下、各省庁の歴史や組織文化、現政権との関係性等につき述べたい。

  • 財務省

財務省は、省庁の中の省庁と言われ、予算編成権と徴税権を背景に、絶大な権力を有している。1998年には財金分離で金融行政を切り離し(金融監督庁、現在の金融庁に移管)、2001年には中央省庁再編で大蔵省から財務省と名称が変更された。しかし、財務省と金融庁は法律上分離されたものの、いまも人事交流等を通じて強いつながりを維持している。

 また、その組織力や情報収集力もすさまじい。総理、官房長官、大臣、副大臣に秘書官を張り付け、幅広い情報網を構築している。また自らの政策を実現すべく、議員会館で財務金融関係の議員事務所を訪問し、「レク」と言われる説明を活発に行っている。

  • 経産省

2001年中央省庁再編以前は通産省という名称で、日本の高度経済成長をけん引し、チャルマーズ・ジョンソンによって「通産省と日本の奇跡」と称えられた。海外からはNotorious MITI、Mighty MITIとして恐れられた。

 また原子力政策も所管していたが、2011年の福島第一原発事故で責任を追及され、原子力安全保安院は廃止され、原子力規制庁として環境省に移管された。

安倍政権とは良好な関係を構築している。例えば、政権の中枢にいる今井尚哉総理秘書官(政務)は、元資源エネルギー庁次長である。安倍政権はアベノミクスを掲げ経済成長を政権支持の基盤にしていることから、経産省を重用する傾向にある。

  • 外務省

1885年の内閣制度創設以後、名称を変えていない唯一の省である。2001年省庁再編の際、「外政省」に名称を変更されそうになったが、強烈な反対でこれを覆した。

外交という特殊な職域や在外公館での慣行から、特権意識が高いと言われる。また、キャリアとノンキャリは、天と地ほど違うとされる。このような意識を是正する一環として、それまで外務省独自で実施していた外交官試験が、2001年を最後に、他の官僚と同じ国家公務員試験に統合された。

 事務次官経験者が駐米大使に就任するという慣行があったが、2001年の一連の不祥事を受けた改革によって、一時期停止していた。しかし2012年、11年ぶりに佐々江賢一郎が、次官経験後に駐米大使に就任した。

安倍政権とは、極めて良好な関係を構築している。谷内正太郎元外務事務次官は日本NSC初代局長、兼原信克元国際法局長は内閣官房副長官補を経てNSC次長に抜擢されている。また現在の齋木昭隆事務次官は拉致問題に詳しく、その解決を成し遂げたい安倍政権とは緊密な関係である。

  • 総務省(自治)

 2001年に自治省、総務庁、郵政省を統合して設置された。ここでBIG5に列せられるのは、強大な権限を有した内務省を引き継ぐ自治省の後継組織である。それは、特に自治行政局、自治財政局、自治税務局の3つの局に引き継がれた。(霞が関では、法律上組織統合されても、従前の組織文化は色濃く残る。採用から始まり、昇進のコースやスピード、天下り先まで続く。)

 総務の「自治」は、地方行財政を所管しており、地方自治体に16兆円の地方交付税交付金を与え、35兆円の地方税を徴収する。

 現在の桜井俊総務事務次官は、人気アイドルグループ嵐の桜井翔の父親である。息子の桜井翔は、総務省が放送法で所管する日本テレビの番組「NEWS ZERO」のキャスターを務めている。

  • 警察庁

総務省と同じく、内務省の流れを汲む。他の多くの省庁と異なり、組織のトップが国会議員ではなく警察官僚の警察庁長官である。形式的には、国務大臣を委員長とする国家公安委員会が警察庁を監督するが、実質的な権限はない。また国家行政組織である警察庁と異なり、都道府県警察は都道府県知事の管理下にあるが、指揮監督や幹部人事等、実際の運用は警察庁が行っている。トップが大臣でなくて問題なのが、国務大臣と異なり警察庁長官では、直接総理に情報を上げられないことがある。この点、日本のインテリジェンス機関の一つである内閣情報調査室のトップである内閣情報官が代々警察庁のポストであり、

この内閣情報官を通じて警察情報を上げていると言われている。

昔は後藤田正晴や亀井静香など、警察官僚出身で大物政治家がいたが、最近ではあまり力のある議員は見られない。警察は、組織としてパチンコ業界と関係が深く、最近ではカジノ利権に近づこうとしている。

  • 結論

上記はほんの一例だが、霞が関には法律には明記されていない暗黙の了解・慣行が、数多く存在する。明文ではないものの、それらのルールは場合によっては制定法よりも強固なものかもしれない。ひとたびそのルールを犯してしまうと、途端に物事は進まなくなってしまう。本文が霞が関を理解する一助になれば幸いである。

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *